接遇の意味をあらためて確認しておこう
「医療接遇」の意味
「接遇」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。看護師は日々さまざまな患者さんと接しています。業務を円滑にし、よりよい看護を提供するために医療接遇は欠かせない概念です。しかし、自分なりに解釈した医療接遇を行っている人も多く正しく理解している人はそれほど多くありません。この機会にあらためて「医療接遇とは何か」その言葉の意味を考えてみましょう。
接遇の遇という字は「もてなす」と読みます。意味は「相手の立場に立って気持ちを思いやる」ということです。看護師が行っている医療接遇は目の前にいる患者さんの気持ちを推察して、それぞれが持つ喜びや不安・痛み・苦しみといった感情に寄り添い、それに応えるために行動することです。思いやりの心を持って患者さんに接しましょう。
思いは目に見えない
看護師であれば誰もが患者さんに対して思いやりの心を持って接しているはずです。しかし、その思いやりの心は患者さんの目に直接ふれるものではありません。目に見えない思いやりの心を「行動」で見える形にする方法がマナーなのです。
社会人であれば言葉遣いやあいさつ、身だしなみなどの目に見える形に尊敬や感謝の気持ちをこめて相手と接しています。患者さんの命を預かる医療の現場は心身が疲弊している患者さんやその家族を相手にするため、一般社会で求められる以上の接遇マナーが必要です。治療に有効な医療技術や知識は患者さんとの信頼関係があってこそ活きるものです。信頼関係を築くために必要となるのが「医療接遇」であり、医療接遇における思いやりの心は実際に行動することで初めて患者さんに伝わるのです。
看護師の態度に不満を持つ患者さんもいる
看護師の接遇マナーや態度を患者さんは意外によく見ています。病気やケガで病院を訪れている患者さんは不安な気持ちを抱えて診察や治療を受けていますが、そのような時に看護師のマナーや態度が悪ければ不快な思いをするでしょう。不快な思いをする病院にまた行きたいとは思いません。少し距離があってもマナーや態度のよい病院に行くことでしょう。看護師の接遇によって、患者さんを逃すリスクがあるのです。
しかし、逆に考えれば看護師の接遇がよければ患者さんに好印象を与えられる、ということです。そう考えると、医療においても接遇は非常に重要なテーマであることが分かります。
「接遇のプロ」ではなく「医療のプロ」
医療業界でも接遇が重要であることが分かりましたが、看護師は医療のプロであって接遇のプロではありません。飲食業界などの接客業と求められている接遇とは性質が違うことをしっかりと押さえておきましょう。