接遇の意識が高まっている
多くの病院で力を入れている接遇教育ですが、接遇の意味を正しく理解している人はどれくらいいるでしょうか。飲食業界やホテル業界のような接客と勘違いしている人もいるかもしれません。接遇とは思いやりの心を持って相手の気持ちに寄り添うことです。しかし、思いやりの心は目に見えるものではないため行動で伝えるしかありません。看護師は接客のプロではないため質の高いサービスを提供できなくても構いませんが、人として最低限のマナーは守らなければなりません。
医療接遇で大切なのは何よりも思いやりの心を持って接することです。目の前にいる患者さんの抱えている喜びや不安、痛みや苦しみを想像してその気持ちに寄り添って行動することが大切です。しかし、ここで注意したいのは「思いやりの心は目には見えない」ということです。目に見えない思いやりの心を伝える手段として有効なのが「接遇」ですが、自分なりに解釈して間違った接遇を行っている人もいます。今一度、接遇とは何か、意味をおさらいしましょう。
医療業界もサービス業の一種といわれていますが、他のサービス業が行っている接客と看護師が行う接遇はまったくの別物です。接客は作法を重視するのに対し、接遇は相手の状態や気持ちを察知して適切な行動を取ることを意識しています。その点を理解していなければ、高い接遇スキルを身につけることはできないでしょう。多くの病院では看護業務の他に接遇スキルを新たに身につけると捉えていますが、それでは患者さんの満足度アップにはつながりません。看護業務の中に接遇スキルを「取り入れる」のです。
患者さんは看護師に対してホテル業界のような質の高いサービスを求めているわけではありません。しかし、人として最低限のマナーが守られていなければ不愉快に感じてしまいます。医療接遇で求められるのは「高い接遇スキル」ではなく「人としての最低限のマナー」です。プロ意識を持って患者さんに接することは大切ですが、もしかしたら無意識のうちに見下した態度を取っているかもしれません。自分の態度が原因で患者さんに不愉快な思いをさせていないかを確認しましょう。
